2002/10/10
アメリカにおける
「2001年度野外レクリエーション」の総消費額は、10兆8000億円!?


 
2001年度ナショナル・フィッシング・ハンティング・ワイルドライフ関連レクリエーションの統計(2001 National Survey of Fishing, Hunting, and Wildlife-Associated Recreation)によると、2001年、16歳以上のアメリカ国民の内、39%がアウトドア活動(ハンティングや釣り、バードウォッチングなど)に参加していたことがわかった。
 
 この統計は、U.S.国勢調査局(U.S. Bureau of Census)と州立魚類野外生態局(State fish and wildlife agencies)が協同調査のもとに集計したもので、アメリカにおける野外レクリエーションのインフォメーションとしては最重要とされるソースの1つといえる。この統計結果は、野外レクリエーションの経済影響を思案する上で非常に有効なツールである。連邦、州、個人団体にとってこの統計結果は、市場調査や商品流通、トレンドにいたるまで、あらゆるアングルで使用できることを示している。
 この統計自体は1955年からはじまったもので、2001年度の統計で10回めを迎えたらしい。
 
 その統計によると、34億人が釣りに、13億人がハンティング、66億人がその他の野外レクリエーションに参加したことを示している。それらすべてのレクリエーションによる消費総額は10兆8000億円におよび、国内の総合消費率の1.1%にあたるという。上記総計の内2兆8100億円はレクリエーションを行う際に消費した旅行代(ガソリン代やホテル代など)、6兆4500億円がレクリエーションに必要な道具代など、1兆5800億円がその他の諸経費で消費されている。
 34億人のアメリカン・アングラーが趣味を目的とした釣り用途に3兆5600億円を消費し、28億人以上の人が淡水釣行、9億人が海釣りを楽しんだ。特に五大湖では2億人以上が釣行したとの統計結果が出た(同統計に出てくる人口は、本来の人口とは異なり、釣行回数を人口として統計したもと捉えられる。たとえば、34億人とあるが、これは実際に34億人のアングラーがいるわけではなく、1人が10回釣行すれば、10人と計算した統計である)。
 
 また、16歳以上の13億のアメリカ国民がハンティングに行ったことも示されている。彼らは2兆円以上をその活動のために消費しているらしい。11億人近くの人がシカなどのビッグゲーム・ハンティングを楽しみ、ラフな統計からすると、5億人がリスやウサギなどのスモールゲーム・ハンティングに熱中している。
 
 66億人以上の大人が野外動物の餌付けや育成、写真撮影などを楽しみ、3兆8400億円が消費されたとある。22億人(全体の33%)がこれらの活動をするために自宅から1マイル以上を離れた場所に移動していたこともわかっているという。63億人(または95%)が自宅付近での野外活動を楽しみ、54億人の愛好家が野生の鳥などに餌付けをしたことがあり、42億人が野生生物の観察をし、14億人が写真撮影をしてことも統計された。13億人が植物と触れ合うことを楽しみ、11億人が自宅から1マイル以内の範囲で行ける公園や森林に足を運でいるともある。
 
 1991年、1996年、2001年に行われた統計と比較をしてみよう。1991年には35億6000万人のアングラー、14億1000万人のハンターが存在し、1996年には35億2000万人のアングラー、14億人のハンターがそれぞれの趣味を楽しんだという結果がある。そして2001年の統計では、34億1000万人のアングラー、13億人のハンターがいることがわかっている。1991年の統計から比較すると、アングラーやハンター人口がやや減少傾向にはあるが、それぞれのカテゴリーに対する消費額は1991年が5兆3000億円だったことに対し、2001年には7兆円へと増加している。
 シンプルに野外を散歩をするなり自然を楽しむ人口も1991年ころと比べると2001年には減少しているが、消費額は増加している。
 
 昨年春に予測された全体的な消費総額は11兆円であったが、これらの傾向から2001年度のアメリカ人による野外レクリエーションの消費額は10兆8000億円になると改善されたと記されているのだ。
 
 アメリカではクリントン政権が続いた8年間は、安定していたというより、バブル的傾向にあった。コンピュータ産業の上昇や当時の副大統領(ゴア)の政策も影響し、環境問題への取り組みにも目に余るものがあった。
 現在、ブッシュ政権になってからは環境問題は二の次のされているが、少なからずB.A.S.S.やFLWなどが大きくメディアと絡むことでスポーツフィッシングの露出が増加され、バス釣りだけを取ったとしてもここ数年間のアメリカ釣り具業界の売り上げは右上がりだろう。
 
 逆に日本ではあまりこのような統計が出回らないが、野外レクリエーションがどれほど経済に貢献しているのかが気になるところだ。
 この記事で引用された数字や統計(2001 National Survey of Fishing, Hunting, and Wildlife-Associated Recreation)などは、U.S.Fish & Wildlife Serviceのウェブサイトに掲載されている。