さて、8月ももうすでに残すところ数日となり、9月と聞くだけで涼しいイメージを持ってしまうが、暦は秋でも水中は秋になっているのだろうか!? どのあたりから“秋”としてパターンを組むべきなのだろうか!?
 
  山中湖を例に挙げてバスのアーリー・フォール・パターンを見てみよう。

 山中湖はワカサギ釣りでも定評があり、秋から春にかけてがその釣りのベストシーズンとされている。それは、この魚が低水温を好む種であるため、低水温時に活発な動きをするからである。では夏場、ワカサギはどうしているかといえば、サーモクラインの下に潜んでいることが多い。そのため、バスもディープのワカサギについていることも多い(それ以外の理由もあるが……)。
 しかし、夏の終わりが近づき水温が下がりはじめると、ワカサギのスクールの動きが活発になりはじめる。岬だけでなく、小さな張り出しに沿ってスクーリングをはじめ、その張り出しに合わせて序じょに泳ぐレンジを上げていく。それは、ディープ付近の水温よりサーフェイス付近の水温の方が、彼らにとって適しているからなのだろう。
 ワカサギ釣りは、ワカサギが釣りやすいレンジに入ったときに客足が増加する。それが山中湖では例年9月下旬に起こる。これが、山中湖におけるフォール・パターン全盛のときだ。
 それを踏まえると、ワカサギがレンジを変えながらスクーリングする時期が、アーリー・フォールと取れないだろうか。
 
 ワカサギがベストレンジに到達するには、必ずコンタクト・ポイントを通過する。山中湖で有名なコンタクト・ポイントは、水中島であったり、ママの森であったりする。水中島は12mボトムから突然8mラインにまで登るハンプ(突起)であり、ママの森では急激なブレイクであったりする。両エリアともに、ハードボトムで急深になったスポットだ。
 ワカサギはこれらのブレイクにそって序じょにレンジを上昇させていく。バスは、それをエッジで待ちかまえていてベイトを捕食する。ただし、これらの有名スポットであり、普段からプレッシャーがかけられていることが多いが、試してみる勝ちは充分にある。
 
 ベストなパターンは、小さな張り出しを中心にその周辺のボトムに点在するアイソレイテッド・ストラクチャー(単体ストラクチャー)を捜し出すことだろう。単体ストラクチャーは魚探がなければ捜し出せないが、もし見つけられた場合、バスの付いている可能性は高く、安易にバイトを得られることも多い。
 山中湖のアーリー・フォールではまだサーモクラインが存在しているので、サーモクラインより下のレンジにある単体ストラクチャーを攻略したい。
 
 山中湖におけるサマー・パターンとアーリー・フォール・パターンに違いは、ルアーチョイスにある。夏の暑さで体力を消耗したバスを釣るにはライトリグをもって対応したが、アーリー・フォールではミドルレンジをスクールするワカサギを意識したバスを攻略するために、ラバージグやメタルジグ、ダウンショットリグをチョイスしたい。
 特筆したいパートは、メタルジグのテクニックである。まず、フルキャストして、ボトムに落とす。その後、ラインスラックを巻き取り、縦にしゃくる。そしてまた少し沈ませたら、またしゃくる。この繰り返しだが、このテクニックの最重要ポイントは、ヘビーロッドを使用することだろう。メタルジグをディープでしゃくると、腕に負担がかかる。それを低減されるためにもヘビーアクションが必要で、さらにこの時期のディープではバイトがあれば40cmオーバーであるため、ヘビーアクションのロッドで一気に上顎にフッキングさせたい。
 ラバージグも同様、このアクションで使用できる。
 ダウンショットリグに関しては、上記した2ルアーのフォロー的な使用多い。ただし、ボトムでチクチクやるわけではなく、ワカサギがステイするレンジをホップさせてリトリーブする、スイミングのダウンショット・メソッドだ。
 どちらにせよ、ディープでサスペンドしているバスにバイトさせることは難しいテクニックといえるが、これをやるのとやらないのでは15尾くらいの差が釣果に出る。
 
 山中湖のアーリー・フォールはまだレイト・サマーの影響を引きずっている。ゆへに、サイズアップをねらうのであれば、ビッグフィッシュ密集はディープを攻略したい。その後、シャローに追い食いでシャローに上ったバスを見るようになるとすでにフォール・パターンも全盛期なので、その時期にはフォール・パターンを優先させたい。
 ただし、アーリー・フォールであっても充分にシャローでバスを捜し出せる。ウイードの切れ目を中心にスピナーベイトなどを通してみて反応をみるのもいいだろう。