W.B.S.
Japan Open Super Three Days
プロアングラーに求められているものとは、いったいなんだろうか。バスを多く釣りあげること。試合で勝つこと。多数のスポンサーを獲得すること。あるいは、バスを釣るためのさまざまなテクニックをわかりやすく解説できる話術や、ライター的な要素……。
おそらく、これらのどれも正解だといえるだろう。どれが欠けてもトッププロにはなれず、誰もがリスペクトするアングラーにはなれない。つまり、プロアングラーとは、釣りに関してオールマイティーなアビリティー(能力)を持つアングラーを指すのだろう。W.B.S.第4戦が終わり、ジャパンオープン・スーパー・スリーデイズが近づきはじめたころから、そんな思いが頭をよぎりはじめた。
第4戦の表彰式後、W.B.S.会長の横山鉄夫さんがマイクを通し、こう選手に語りかけた。
「今年は、参戦ボート数が少なければ、スリーデイズの開催を中止しようと思っています。少ないボート数でやっても、張り合いがない。優勝賞金は100万円。“プロ”を名乗っている以上、こういう大きな大会に出て、その意気込みを見せてもらいたい」。
霞ヶ浦でレギュラーシリーズの全5戦を戦っているW.B.S.参戦メンバーの心中は、葛藤の繰り返しだった。例年と比較し、バスの個体数が激減状態にある霞ヶ浦。新エリアとして桜川と北利根川を導入するも、それだけでは刺激が足りないのも事実。桜川の爆発力、北利根川の未知数的ポテンシャルを考慮しても、「釣れなくなった=面白くない」と冷めた視線を持つ選手もいる。だからこそ、「プロとしての意気込みを見せてくれ」と横山さんは、断腸の思いで訴えたのだろう。
バスフィッシングの世界をより発展させるために誕生したジャパンオープン・スーパー・スリーデイズ。それは我が国バストーナメント界では初夏の祭典と呼ばれ、W.B.S.ではアングラー・オブ・ザ・イヤー、クラシック・チャンピオンと並び3大タイトルの1つと数えられている。それが今年、「参戦者が少なくなったため中止します」では、あまりにも寂しすぎる。
前年度は18組という“小さなビッグトーナメント”となった。横山さんは「もし今年、17組以下しか集まらなかったら、中止しようと思っていました」と最低参戦ボート数をあらかじめ念頭に置いていた。ところが、2003年度は26艇がエントリーし、無事、開催を迎えることとなった。
プロの意気込みとはなんだろう……。私は、プロ意識の高さだと思う。
W.B.S.カスミ・クラシックに出場するためには、4つのルートが存在する。ボーターの年間総合順位トップ15位、ノンボーターのトップ3、ディフェンディング・チャンピオン、そしてスリー・デイズからの上位3名である。クラシック出場をもくろむアングラーで、現在、年間成績の15位以下の選手は、このスリー・デイズ枠をねらってくる。もちろん、15位以上のアングラーが「スリーデイズに出てはいけない」というルールなどない。だが今回、現在15位以上につけていてスリー・デイズに出場したメンバーは、峯村光浩さん(暫定1位)、松村寛さん(6位)、佐藤健さん(7位)、鳥澤徹さん(9位)、そして荻野貴生さん(15位)の5名。なぜだか、寂しい気分になった。
スリーデイズに参戦するには、やはり並大抵の決心では無理だ。9割以上のW.B.S.メンバーは、有給休暇などをやりくりして参戦にこぎつけている。エントリーフィーやガソリン代などの経済面も、エントリーを躊躇させる理由である。ゆえに、出場したくとも物理的に不可能な選手も存在する。今回出場した選手はプロ意識が高く、出ていない選手はそれに欠けるとは言えないが、あらゆる状況の下、参戦を決意したアングラーは、称賛に値する。少なくとも、私は彼らのトーナメントに対する強い熱意を感じた。
大会前の見どころとして、大藪厳太郎さん、本山博之さん、林俊雄さん、粟島英之への期待は大きい。大藪さんは昨年のクラシック・ディフェンディング・チャンピオンである。本山さんは12年連続クラシック出場、林さんは11年連続クラシック出場がかかっていた。粟島さんは、昨年年間優勝とスリー・デイズ優勝の2冠を達成した。これだけでも今大会の話題性は充分ある。
加えて、中村雅晴さん、内山幸也さん、橋本真樹さんは普段、ノンボーターとして参戦しているアングラーだが、今回はボーターとしてスリーデイズに臨んだ。
他には、W.B.S.初参戦の田辺哲男さんが西村嘉高さんのパートナーとして、JBCCの沖田護さんは佐藤健さんのパートナーとして参戦した。ちなみに、沖田さんは昨年のスリー・デイズ優勝メンバーの1人。また、アメリカから一時帰国中の宮崎友輔さんは師匠の吉田幸二さんのパートナーとして、第1回+Fのメインゲスト・ミュージシャンの渡辺学さんは、松村寛さんのパートナーとして乗り込んできた。
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