宮崎友輔interview
basswave:久しぶりに霞ヶ浦で釣りをしてどうですか?
宮崎:練習はほんの少ししかできなかったので、完全にカスミの状況を掴むまではいきませんでしたね。久しぶりにやって思ったのは、みんな、ライトリグが中心なんだなということです。スピニングタックルを使ったり、細いイトを使ったり。僕はそれができないんですよ。できないっていうか、自分の釣りを……自分の求めてる釣りがやりたかったんで。フリッピング用が20Lb、クランキング用が14と16Lb。

basswave:プラクティスや吉田さんからの情報で、バスのサイズが小さく、タフであるといわれてました。たとえば、フリッピングを16Lb、クランキングを12Lbという具合に、多少、今のカスミにあった太さにチェンジすることは、オプションになかったのでしょうか?
宮崎:もちろん考えました。でもプラのときに、そんなに釣れないというイメージがなかったんで、そのまま行こうと。タックルはアメリカで使っているものと同じですから(宮崎さんがプロデュースしたモデル:ダイワUSトレイル)。これといって、特別なことはしてないし、自分の釣りがしたかった。吉田さんの釣りは僕の釣りに近いんで、やりやすかったし。釣れたらボートのフロントとバックを交代してやりました。

basswave:日本で釣りをするのは10年ぶりと伺いましたが、2001年のお正月に開催されたユウスケ・ミヤザキ・インビテーショナル(W.B.S.のメンバーを主体に、宮崎さんを励ますことを主旨に行われた身内の大会)が最後ですか?
宮崎:オフィシャルの大会は、あれ以来ですね。あのときはお正月だったんで、寒かったし、4時間くらいだけでしたけど。でも、今回は短いながらプラクティスもしたので、試合らしい試合にはなってると思いますね。

basswave:今日(初日)は、サイズは小さかったものの、7尾をウエイインしましたね。
宮崎:(悩んだ表情で)納得はしてないですけど、最低限、自分たちが今日釣らなきゃいけない分、70〜80点くらいの感触です。やっぱり試合は思い通りにいかないんで、「リミットを獲る」という面では最低限はクリアしたかな、と。

basswave:霞ヶ浦は国内では大きいレイクの1つですが、アメリカで転戦する宮崎さんから見て、このサイズはどうなのでしょうか?
宮崎:そんなに狭いとは思わないですけど、ストラクチャーというか……カバーが少ないんで、やりやすくはない。ショアにあるベジテーション、ここはアシが多いですけど、水深が足りない。たとえば、ショアにウッドカバーがあっても、水深が足りない。一見よさそうに見えるカバーがあっても、いい条件が絡みづらい。ブレイクラインが沖にあるんで、(ショアのストラクチャーとの)絡みが少ないんです。そこが一番印象的ですね。すごくプアーで、撃つところが少ないという感じです。それに、昔と違ってバスが少ないので、よさそうで「ここはいるだろう」と思っても、いない。丁寧に丁寧に釣らないと、クランクベイトも何回も同じスポットを通してやらないと、食わない。素直に食ってくるときも、もちろんありますけど。アメリカでもタフなレイクはありますので、特にアメリカだから日本だからという感覚はなかった。広さも、これだったら、アメリカでも充分にトーナメントはやってますからね。

basswave:フィールド面では違和感を感じないとのことですが、その他で感じたものはありますか
宮崎:日本的な細かなルールが多いですよね。なんていうのかなぁ、たとえば、生け簀は撃っちゃいけない、マンメイドのコレは撃っちゃいけない、デッドスローで進むだとか……。アメリカだったら川は、ノー・ウェイクの張り紙がなければ、プレーンで走り抜ける場所ですけど。日本はヘラとか、他の釣り人との兼ね合いなどもありますからね。だから、どちらがいいとか悪いとかの問題じゃないですけど。日本には日本の状況もあるし。単純にバスフィッシングの大会としても効率を考えれば、プレーンで抜けられたらいいな、とは思いますけど。

basswave:アメリカが出てきましたので、話をそっちに向けます。B.A.S.S.は今季の大会日程を終了しました。1年間を通して、印象に残るものはありましたか?今年からレギュレーションがリニューアルされましたし、体調管理とか、難しくなったと思うんですが。
宮崎:今年はトラブルが多かったですね。エンジントラブルが2回と車が1回。風邪をひいたり、多くの面でトラブルは多かった。普段、自分の妻と廻っているんですけど……(考えながら、単語を思い出す顔で)産卵?、いや、えっと……。

basswave:人間は出産ですね(笑)。
宮崎:出産だよね(笑)。それがあって、1人で全部やったので、その分のシワ寄せが来たのかなって(奥さんは出産のため、日本に帰国していた)。(大森)貴洋なんかも1人でやってるんで、ハンデではないんだけど、1人でやることに慣れていなかったので。精神面でも(奥さんがいないのは)大きかったんですね。

basswave:はじめてボートを浮かべたレイクもありましたね。
宮崎:日程的にきつかったので、プリプラクティスができない大会もありました(大会の公式プラ前30日間はそのレイクに立ち入りできないリール)。印象に残ったのは……レイク・ハリス(フロリダ州。今季第1戦の会場)。これは、ハズしました。大ハズしでしたね。初戦っていうのもありましたけど……バックアップのプランをやりすぎた。で、そのバックアッププランも悪かった(苦笑)。だからドツボにハマリました。僕らしくないスタートでしたよ。初戦だったからか、大事にいきすぎたのかなぁ。2戦め(フロリダ州レイク・オキチョビー)は思い切ってやったつもりだったけど、エンジントラブル。あれは自信ありましたし、20位くらいには滑り込めるはずだった。それ相応のクオリティーフィッシュも見つけてたし。なにより、オキチョビーがダメだったのが大きかったですね。調子が悪いと言えば、バラシも多かったですね、今シーズンに限ってですが。

basswave:その後、バスマスターツアーでは6戦めが終わって、最初の足切りがありました(175名中上位100名が残る)。ですが、宮崎さんは本来であれば、100位以下でしたよね(111位)。100位以内の選手で第7戦以降に出場するのを辞退したために、宮崎さんは繰り上げになりました。そのときの心境を教えていただけますか?
宮崎:6戦めが終わった時点で、終わっちゃってもよかった。ただ7〜8戦めがカリフォルニアのレイクじゃなかったら、行かなかったでしょうね。デルタ(第6戦)、クリア・レイク(第7戦)は、僕は相性がいいほうなんで。今年のことを生かして、来年頑張るだけですね。

basswave:スリーデイズの話に戻りますが、初日が終わって、残り2日間です。宮崎さんとしては、どういう試合運びにしたいと思っていますか?
宮崎:とりあえず、今日の目標は5kgだったんですよ。1kg足りませんでしたね。でも、7尾獲れましたし、感触は掴めた。3日間の大会をやるときは、初日に目標ウエイトを置きますよね。初日にそのウエイトに達したら……達してなくても、2日めのためのプラをする。それで、エリアはまだ生きているのか、バックアップは大丈夫なのかを見ます。2日めは、全力でやります。3日めのことを考えないで、釣りきる感じで。ウエイトを伸ばせるだけ伸ばして、(順位表の)ポジションを確保します。3日めも2日めと同じように、全力でやる。だから、初日だけちょっと違いますね。

 吉田幸二/宮崎友輔チームは初日7尾で3930gを持ち込み7位につけた。最終日は6尾で2730gと伸び悩み、2003年度スリーデイズは9位に終わる。
 宮崎さんは、来季8月からスタートするB.A.S.S.セントラル・オープンへの参戦が決定している。また来年1月スタートするバスマスター・ツアーへも参戦する。今年はツアーで85位に終わっているが、来年はバスマスターズ・クラシックに出場できることを期待した
い。