W.B.S. Classic 2002 Preview 1

 W.B.S. (World Bass Society)は、1990年、吉田幸二さんの呼びかけの下にその産声を上げた。関東最大のフィールドとして知られる霞ヶ浦を舞台に、年間5戦のトレイルを組みプロ・トーナメントを開催することにいたる。
 9月14〜15日かけて開催されるW.B.S.Classic XIは、1992年から開催されている。ということは、W.B.S.が発足されてから2年後にクラシックが開催されたことになる。
 これについてW.B.S.会長である横山鉄夫さんは、「初年度からはアングラー・オブ・ザ・イヤーという年間優勝を称える制度はありましたが、クラシックは2年遅れてスタートしました。選手やW.B.S.のオフィシャルから『年間で上位入賞した選手だけを集めて、格式高い年間ナンバーワンを決定する大会がやりたい』との声が高まり、1992年から念願のクラシックをやることにしたんです」と語っている。
 
 今年で11回めを迎えるW.B.S.クラシック。まずは、このクラシックに出場するための道について解説しておこう。
 通常行われる年間5戦の総合成績(アングラー・オブ・ザ・イヤー・スタンディング)の上位15名、同様にノンボーター部門の年間上位3名、W.B.S. Japan Open Super 3 Daysから上位3名、そしてクラシックのディフェンディング・チャンピオン(1名)の合計22名がクラシックにクオリファイされる。
 
 横山さんは、W.B.S.クラシックについてこのようにも語っている。「B.A.S.S.の選手というかアメリカのプロアングラーは、『Bassmasters Classic何回出場』というのが1つの肩書きになってるでしょ? 私たちの団体はそこまでスケールの大きいものじゃないかもしれないけど、W.B.S.クラシックも簡単に出場できるようでは意味がないと思うんです」。
 今年のトレイルと出場選手数を例に挙げてみると、今年は50名の選手がプロ部門で参戦していた。この上位15名ということは、実質、1/3に当たる。このように表記すると「3人に1人がクオリファイされる」というように取られがちであるが、年間を通して上位15位に入るためには、ただならぬ険しい道であることは理解してもらいたい。
 たとえば、鳥澤徹さんは、トレイル第5戦の優勝者であるが、クラシック出場者のリストには入っていない。5戦中、1度優勝したくらいでは出場できない道の狭さがあるのだ。確かに、彼は第1戦、第2戦をノーフィッシュでフィニッシュしたため、それが最後に痛手となっている。しかし、今年クラシックに出場する新谷一大さん、武恵一さんも今シーズンともに2度のノーフィッシュを経験しているが、彼らは年間6位、年間10位という好成績でクラシックの切符を手にした。
 ラッキーでは出場できないのが、W.B.S.クラシックなのである。
 
 年間成績のトップ15名というのはさすがに険しい。トーナメントというものが実力だけが問われる戦場なのであれば、クオリファイを手にできるアングラーが少ないほどその価値が高まる。横山さんが言う「出場することが1つの肩書き」が、まさにそれだといえる。
 だが、年間成績だけが唯一の門ではない。シーズン第4戦が終了すると、第5戦を前にスーパー・3デイズが開催される。これは、オープン戦であり、W.B.S.所属のプロアングラー以外の人も参戦できる。仮に、他団体の選手や1度も大会に参戦したことのないアングラーであっても参戦可能だ。
 W.B.S.プロで第5戦までの成績が思わしくなく、第5戦めで好成績を残したとしても年間トップ15枠からのクラシック出場が危うい場合、スーパー・3デイズの上位3位に入賞すれば、クラシックにクオリファイされる道が開ける。
 
 今年の場合、そのスーパー3デイズ枠を獲得したのは、同大会で優勝した粟島英之さん、赤羽修弥さん、そして西村嘉高さんであった。しかし、これら3選手のうち、栗島さんは年間成績1位、赤羽さんが8位だった。
 この場合、彼らは2つの枠からクラシック出場の権利を獲得したことになる。B.A.S.S.では、オープン戦からのクラシック出場枠に入りさらにツアー戦からも出場枠に入った場合、オープン戦枠を最優先し、ツアー枠は繰り下げになる。
 “W.B.S.の場合も、栗島さん、赤羽さんの枠を繰り下げし、年間16位と17位の選手がクオリファイされる”かというと、「W.B.S.には棚からぼた餅は存在しません」と横山さんは語った。W.B.S.クラシックにおいては、クラシック出場選手がクオリファイ枠が重なったとしても、繰り下げはなく、そのまま定数である22名に満たないまま開催されるのだ。
 まさに……実力だけがものをいう世界である。
 
 クラシックには毎年、ノンボーター部門から3名がクオリファイされる。彼らはノンボーターとしてトレイルに参戦しているが、すべて船舶免許の所有者である。ノンボーターの選手はどうやってクラシックに参戦するのかと横山さんに訊ねると、
 「今年クオリファイされた選手は全員ボートを所有しているから、自分のボートを出すでしょうけど、もし持っていなければ、誰かに借りて出場します」と言う。
 ノンボーターで出場する選手の多くは、「現在ボーターとして出場している選手から学びたい」という意思が強いようだ。実際、W.B.S.のノンボーター部門の選手にはマイ・ボートを所有している人も多数いるので、「いつかは私もボーターで……」という選手もいることだろう。
 
 残された1枠は、昨年度のクラシック・ウイナー枠である。ここからは、ディフェンディング・チャンピオンの本山博之さんがクオリファイされている。
 
 さて、今年は前述したスーパー3デイズ枠から1名のみのクオリファイとなったため、実際には定数より2名少ない20名が出場することになった。しかし、オフィシャルからの情報によると、柴努さんと谷中洋一さんがパーソナルな事情のため、同大会に出場できないことが判明した。
 これにより、第11回W.B.S.クラシックには前代未聞の18名で釣技が行われることになった。
 以下がその出場者である。
 
ディフェンディング・チャンピオン枠:
本山博之

ボーター枠:
粟島英之
大藪厳太郎
早乙女剛
荻野貴生
蛯原英夫
新谷一大
市川好一
赤羽修弥
川口信明
武恵一
山田貴之
林俊雄
布川昭男

スーパー3デイズ枠:
西村嘉高

ノンボーター枠:
中村雅晴
稲葉隆憲
後藤健治