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第32回Bassmasters Classic初日

 ジェイ・イエラス(36歳)が、第32回Bassmasters Classic初日をリードした。イエラスは、言わずと知れたトップアングラーの1人で、B.A.S.S.の大会においては4回の優勝と12回のClassicクオリファイを経験している。その彼がこのキャリアを持ってしても“Classic優勝”の栄光はほど遠かった、がしかし今日、その目標に一歩近づいた。
 2002年度Bassmasters Classicの初日、イエラスは多くのファンを驚かせるビッグストリンガーをウエイインした。6ポンド2オンスのラージマウスバスを含む、18ポンド9オンスは、初日をリードするに相応しいウエイトだった。ウエイイン会場であるジェファーソン・シビックセンターは、興奮の坩堝と化した。
 
 2位にはカリフォルニア州出身でウエスタン戦を1位で通過したアーロン・マーテンス(14.1lb)、3位に年間チャンピオンのデイビー・ハイト(13lb)、Federeationチャンピオンのケン・クライスト(12.14lb)が4位に、自らの活躍で自社ルアーの名を広めたゲーリー・ヤマモト(11.13lb)が5位に入っている。
 
闘志の矛先はイエラスに
 
 初日はジェイ・イエラスの一人勝ちと言っても過言ではない。なぜなら、2位に4 1/2ポンドの差をつけてリードしているからだ。気の早いファンは、すでにイエラスの優勝を確信したかのごとく、彼への声援を止まない。また彼もその声援に応えるだけの成績を残している。
 「今日は表現できないほどイイ1日だった。今までのClassicと比較しても、今日の釣りがベストだよ。Classicをリードした経験もないから、自分でも驚いている。ただ、湖上ではすべて噛み合ってパーフェクトだった。まさにドリーム・デーだった。プロとして経験はまだ15年しかないが、今日はホントのトッププロの仲間入りした気分だよ」と述べている。
 しかし、ここで失速しては「ホントのプロへの仲間入り」ができない。2日め以降もその猛威を振るい、元西海岸出身のプロとしても彼の強さを世界に見せてもらいたいものだ。
 イエラスがこの日選択したメソッドは、シャローカバー・パターン。バークレー社のパワーベイトやフレンジーのディープダイバーを使用し、6.2ポンドのラージマウス、3 1/2ポンドのスポッツを持ち込んだ。
 
 しかしいざとなると、Bassmasters Classicを制覇するためには、釣りの技術だけがものをいう大会ではない。精神面でも強いことが要求される。そういった意味では、初日2位につけたアーロン・マーテンス(29歳)のコメントに興味が沸く。
 巻きモノ系で勝負に出ていたマーテンスはすべてスポッツで固めた。「この大会を勝つだけの自信がある、しかもスポッツだけで。このレイクにはモンスター級のスポッツが潜んでいるんだ。今日の成績は、自分としては最悪だったと言っておこう」と述べている。
 これは、完全に浮かれ気分でコメントを残したジェイ・イエラスへの挑戦状であり、自分自身を追い込むための自己暗示である。アーロンの母親(キャロル・マーテンス)も同じようにB.A.S.S.のウェスタン戦を中心に活躍するプロアングラーであり、“プロアングラーであるためには……”という意義を彼女から受け継いでいる。アーロン・マーテンスは、幼年のころから母とともに参戦してきた多数の大会から、栄冠を掴むための駆け引きを自然に身につけていたのだ。
 だが、このようなコメントを残すことによって、2日め以降、自分の首を絞めることにも繋がる。それは、これがClassicだからだ。初日リードした選手には、2日め以降、ファンがボートで追いかけて観戦する。ノーマークにされた方がよかったのかもしれないと思う反面、このようなコメントを残し闘志を剥き出しにするのが、彼のキャラクターであり、プロとしてのエンターテイメント性の部分なのだろう。
 ただし、ダークホースと思われがちの西海岸出身選手が、「南部が本場」と思い込んでいる選手やファンの前で優勝することは、ジェイ・イエラスが優勝する以上に意味が深い。ある意味、初日終了時点でもっとも注目されるべき選手は、アーロン・マーテンスかもしれない。
 
 しかし3位につけたデイビー・ハイトは、ジェイ・イエラスやアーロン・マーテンスにとっても要注意人物であることは間違いない。2002年度アングラー・オブ・ザ・イヤーに輝いたハイトの今期の成績は、それに相応しいものだった。年間6戦行われるBassmaster Tourのトレイルを2戦優勝している。(第1戦:ミシガン州セント・クレア + 第2戦:ルイジアナ州レッドリバー)。ハイトはサウス・キャロライナ州出身の選手であるが、全国区をサーキットする選手にとして、北部のビッグレイク、南部のリバー、南部のリザーバーと、どれをとっても自らをアジャストできる技量を備えている。
 ちなみに、ジェイ・イエラスは、今期FLW Tourのアングラー・オブ・ザ・イヤーである。ということは、このClassicは事実上、“2002年度のワールド・チャンピオン”を決定する大会といってもいい!
 ハイトは「初日3位というのは、私が望んだ順位だ。今日から毎日1つずつ順位上げていくよ。イエラスの6パウンダーは、今日いいリードを取った。でも、このレイクには6パウンダーがウジャウジャいるから、私にも釣るチャンスがあるだろう」と、彼もマーテンスに劣らずの宣戦布告宣言をイエラスに叩き込んだ。
 
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