高久祐則インタビュー(03.9.26)

basswave:JBワールド第5戦が桧原湖で開催されました。試合結果を見ると、非常に難しい展開だったように感じますが、高久(祐則)さんはどのようにご覧になられましたか?
高久:本戦の時期が、今シーズンの湖のコンディション中で一番悪かったかもしれませんね。釣果に影響した大きな理由としては、フォールターンのまっ最中だったことだと思います。

basswave:フォールターンの兆しは少しずつ入ってきていたと思いますが、それが突然強くなったんですか?
高久:運が悪かったと言ったらそれまでですけど、フォールターンが重なったのでパターンも絞られました。予想通り、シャローをうろついているラージの大っきめのヤツを獲るのと、あとはディープの中層に浮いてるスモールでしたね。結局、シャローのラージのパターンは3日間続かないんで、いくらラージのサイズがよかったとしても、それだけでは勝てなかった。

basswave:赤嶺(吉蔵)さんにはbasswaveにワールド第5戦についてレポートを書いていただきましたが、スモールはサイズが小さいのでラージをできるだけ多くリミットに混ぜたいとおっしゃっていました。
高久:スモールはいいやつで500〜600gです。ラージもよくて700gくらい。多少大きいですけどね。センチでいうと、40cmにいかないくらいです。ラージは100g大きいだけですけど、それでも充分差がでます。ラージはシャローをうろついてるんですけど、絶対数も少ないし、ラージだけをねらうのは無理でしょうね。実際に上位に入った人は、ラージとスモールを上手くリミットに混ぜていました。特にラージの場合は、岬であるとかシャローのランガンで「偶然釣れる」程度の頻度です。あとは、2mラインのウイードの中にいて、それが回遊したタイミングに合わせて釣る……。ラージを獲るのは難しいですよ。

basswave:以前、高久さんは「桧原湖でラージをねらって釣るのは難しい」とおっしゃっていました。ですが、その難しいラージを試合のパターンに何人も入れていたという事実もあります。それがプロの世界なのでしょうか?
高久:昔はホントにバスを100尾釣ったら、その中にラージが混ざる確率は1%、だから1尾くらいでした。でも、ラージの個体数が年々増えてきてるんです。春になれば、ラージのネストはよく見ますからね。スモールとラージの勢力争いの中で、ラージが湖に対応できるようになったのかなぁ。一時、すごく減りましたけど、今はねらえば釣れるくらいの数にはなっています。ただ、一般の人がそれをやると、ボウズで終わる可能性があります。あとは、ブルーギルも増えてるんですよ。以前はイカリ潟というワンドの中でしか確認できなかったのが、今では湖全体で釣れるようになってきました。魚の環境に対する適応能力はスゴいですよ。

basswave:フォールターンの話に戻りますが、具体的にはいつごろからはじまったのしょうか?
高久:9月初旬ですね。一気に寒くなって、はじまったんじゃないかと思います。それがちょうどワールド戦のオフリミットと重なった。あとは、例年、秋になると水位調整のために水位が落とすんですけど、今年はあまり落ちなかった。放水はしてるんですけど、夏場の雨も多かったですし。それがオフリミットの間に水がガンガン減ってきて、1日に40〜50cmくらい水位が落ちていたんです。放水口を見ると、毎日鉄砲水のように出てました。

basswave:それだけ水位が下がれば、プリプラで桧原湖に来たときと、本戦とでは地形が変わって見えませんか?自分が持っていたエリアが完全に陸地になっていたり……。
高久:陸地になってて、悩んだ人もいると思います。それが試合の怖いところです。たとえば、第4戦まで年間トップだった相羽(純一)君は、プリプラのときにシャローで6〜7kgを釣ってたらしいんですけど、直前プラでは相当苦労したらしいですから。本戦初日のトップは3kgくらいでしたから、オフリミットを挟んだ2週間の間に相当なプレッシャーがかかっていたことになります。プレッシャーは減水とフォールターンの2つですが、釣れなくなったのは、減水の方が強いと思います。シャローが潰れたわけですから。

basswave:では具体的にこういう状況では、どのように攻略すればいいんですか?
高久:結局は、シャローを撃ち続ける。回遊バスのルートを知っているのであれば、それをねらう。このパターンは数が出ません。あとはディープです。ディープフラットをねらうわけですけど、フラットには確実にバスはいるんだけど、食わない状況なんです。それを如何に食わせるかがポイントです。キモはフラットの上にサスペンドしているバスをねらっていく。あとは、バーチカルな釣り方で、みんな本戦でやってましたけど、メタルジグでねらう。私は湾ベイト(ベイトブレス社)、テールスピンジグのようなルアーを使います。基本的なリフト・アンド・フォール、バーチカルな釣りです。ダウンショットリグで中層を浮かせるのもイイですね。フォールターンの場合は、ドロがボトムに溜まっていない、ハードボトムでハンプとか岩場があるスポット。ハンプでもバスのアベレージサイズがいいのと、小さいのがありますから、グッドサイズが付いているハンプを見つけることです。

basswave:大会が終わって、少し時間があきました。フィールドの状況がまた変化していると思います。
高久:現状では、ディープフラットは、かなり釣れにくくなってます。フォールターンの水が回った状態です。ハンプが一番いいと思います。ディープフラットなら、格となる大きなハンプの周囲がいいです。このエリアであれば、朝夕に限ってですけど、強烈に釣れています。日中はちょっと難しいですが、朝夕ならワンキャスト・ワンフィッシュです。ガイドの時はお客さんと3人で乗って、15〜20分くらいは同じハンプからワンキャスト・ワンフィッシュの状態です。釣れているときは、「このまま永遠に続くのか」と感じるくらい釣れます。でも、こんな場所は湖に数ヶ所しかありませんけどね。

basswave:それは、「一般アングラーでは見つけにくいので、私がガイドします」ということですね。
高久:まぁ、そういうことにしましょう(笑)。そんないいエリアの真上にいると、魚探に数十尾のバスのスクールがガンガン入ってきます。そこにメタルジグを落とすと、入れ食いです。サイズは500〜600gなので、いい方です。

basswave:大会のときは釣果に不満が残る感じでしたが、今後盛り返しますか?
高久:よくなると思います。水位次第ですけどね。現在の水位はどん底くらいまで落ちましたから、これからさらに落ちるとは思えませんしね。ですから、水位も水質も落ち着きますから、魚も活発になります。今は秋のパターンです。10月いっぱいまで釣れ続けます。それで冬のパターンに入ると、湖の中でいいエリアがあるんですけど、そこに入りはじめた瞬間くらいの時期は、40cm級がバカバカ釣れて、またスゴいことになります。

basswave:では、これから桧原湖に行くのであれば、必ず持参したアイテムはありますか?
高久:現時点では、バーチカルな釣りに対応できるもの。特に重めのものがほしいです。最近使っているのは、湾ベイトの重い方(29g)。それに見合ったロッドを持ってこないと、腕が疲れます。重いから広範囲に捜しやすいし、根ガカんないです。これとダウンショットリグの両刀です。ちょっと極端ですけどね、フィネスとリアクションですから。あとは、夜に冷え込みがなければシャローにバスが入ってくるんで、ミノーとかバイブレーションの釣りも楽しいです。アベレージは下がりますけど、これだったら湖に詳しくない人でもやれると思います。島周りとか、岬周りに投げてればいいだけですから。キモは夜の冷え込みがないときです。湖に辿り着くまでの国道に温度表示がありますので、それで確認できます。朝一番の気温が10℃前半であれば、シャローで楽しめると思います。寒いときは5℃とかありますから、もう真冬の防寒着で来てもらいたいです。寒さ対策も重要です。手袋も必要ですよ。雨が降ると、ラインを結べませんから。

basswave:高久さんは、今年は何月までガイドをされますか?
高久:一応、10月いっぱいの予定でやってますけど、11月も結構釣れるんで、要望があればって感じでしょうか。12月まで船を出せると思うんですけど、ここまで来ると雪が降りますよね。そうなると、アクセスが危険です。湖に辿り着くまでが問題になりますから、やっても11月半ばだと思います。

高久祐則インタビュー(03.9.26)