バスフィッシングと出会って20年あまり。
すっかりオッサンになったかつての釣り好き少年が、
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TEXT by Jun Sugawara

BEAT 31  河口湖でソフトベイトが禁止に その3(2007/1/26)

さて、またまた続きである。

5月からソフトベイトが禁止される河口湖。
釣り人の減少に伴い、レンタルボート店やプロショップの減収などが懸念されるが、
山木一人さんはもうひとつの懸念を口にした。

「バス釣りの代名詞ともいえる河口湖での決定ということで、ほかに波及することが心配です。
 これがエスカレートすればソフトベイトどころか、ルアー禁止ということになるかもしれません」。

はたして、この山木さんの懸念は大袈裟なことだろうか。
前回紹介したOne of Bassers.さんのご意見にもあったように、
ソフトベイトが環境に与える負荷については、以前から指摘されていたことだ。
水中カメラマンの森文俊さんは根ガカリしたルアーを水中で見る機会が多く、
「まるでクリスマスツリーのよう」になった立ち木を何度も見ているという。
ソフトベイトの使用が禁止される可能性は、
全国すべてのフィールドにあると考えていいだろう。

安価なソフトベイトは使い捨て感覚で使用されることが多く、
根ガカリで水中に残されたものを回収する手段にも乏しい。
これについてはダイバーによる清掃活動などを、
メーカーをはじめとした業界が主導して行なっていくことを期待したいと思う。

湖畔の清掃活動ならまだしも、水中に潜って清掃するというのは個人レベルでは難しい。
それでも、私たちアングラーにもできることはある。
というより、「一般のアングラーだからこそできる」ということもあるのだ。
それはなにより、ソフトベイトのロストを最低限におさえる努力だ。
もっとも有効な手段はソフトベイトを使用しないことに尽きるが、
そう言ってしまっては元も子もない。
まずはソフトベイトに限らず、必要以上に細いラインの使用を控えること。

ぶっちゃけ、近年のライトライン化は少々異常だと思う。
経験上、細いラインのほうが魚に警戒心を与えないことは間違いないと思う。
その意味で、少しでも細いラインを使いたいという気持ちは分からないでもない。
ただし、ライトラインを使用しているプロアングラーは、
キャスティングや魚とのやりとりはもちろん、根ガカリをはずす技術にも長けている。
キャスティングも下手、魚とのやりとりも未熟なアングラーが、
プロアングラーの真似をして3〜4Lbのラインを使っても、ラインブレイクが多発するだけだ。
もちろん、これは私自身にもいえることである(笑)。

これは、根ガカリした際にラインを引っ張り、フックを伸ばして回収できる強度が理想。
フックの強度はまちまちなので具体的なLb数を挙げるのは難しいが、
私の経験上、25Lb以上のPEラインであれば、ほとんどの場合で回収可能。
ラインを手に持って「ギューッ」と引っ張るのがコツだが、手を切る危険性があるため、
タオルなどを手に巻き付けて行なうこと。
また、ボート釣りの場合はバランスを崩さないように充分気をつけてほしい。
根ガカリ回収器を併用するのも効果的だ。

もうひとつできること、それは生分解性素材のソフトベイトを使用することだ。
ここ数年JBがエコタックルを推進してきたこともあって、
生分解性素材のソフトベイトは各社からさまざまなものがリリースされている。
従来のプラスチック素材と比べて扱いが面倒な部分もあるが、
現在の製品は、一般的な使用においてほぼ問題ないといえるだろう。
実は河口湖においても、「生分解性素材のソフトベイトは許可してもいいのでは」
という意見があったそうだが、現状では見分けが難しいと判断されたらしい。
これは、私たちユーザーが将来の鍵を握っているともいえるだろう。
もしも生分解性素材以外のソフトベイトが売れなくなれば、
メーカーもそちらにシフトせざるを得なくなるのだから。

ただし、「生分解」とひと言でいっても、メーカーによって取り組み方に差があるのも事実。
目に見えない微粒子に崩壊するだけという素材もあり、
これでは私たちが求める意味での「生分解」とはいえない。
良心的なメーカーはウェブサイトなどで自社の取り組みについて解説しているので、
こういったところも参考にして製品を選びたい。
また、たとえ生分解性のソフトベイトといえども、水中ではただのゴミだ。
生分解はあくまで「最後の手段」として考え、
フィールドに残さないことが重要であることを覚えておいてほしい。

そしてもうひとつ、今後について提案したいことがある。
……のだが、そちらは次回に。

さて、今回も貴重なご意見をいただいたので紹介しよう。
大阪府にお住まいの辻井豊さんからのご意見だ。

河口湖でのワームの禁止、私は、それそのものよりも、釣り人の反応に注目しております。
ワームを減らせるかどうかについては、簡単に計算してしまえば、
“1年間にロストされるワームの量 < 1年間に回収されるワームの量”となら
ない限り、湖底のワームが減ることはありません。
この条件の達成は、なんらかのワームの使用制限を設けない限り、
技術的に不可能のように思えます。
湖底清掃のレポートなどを読む限りですが。

ですから、やはり人が納得するかどうか、もちろん、どれだけ説明しても納得できない立場や、
感情の人もいるわけですから、それらが、今、どのような割合で、またそれを知るのが難しければ、
どのような意見が集まるのか、注目しています。
なぜなら、河口湖はバス釣りの東の象徴であり、そこでのワーム禁止に対する反応は、
バスの特定外来生物指定の時とほぼ同じ反応を呼ぶはずで、特定外来生物指定時との差異が、
バス釣り人の諦観や、関心の程度の推移を表しているかもと思うからです。

もし、同じように考えている人がいるなら、わたくしと同じ様に、貴コラムへの反応に注目しているでしょう。
ですから、今回の貴コラムと、そこでコラムへの意見が公開されることを、私自身は、歓迎いたします。


なお、辻井さんは遊漁施策についての私案をまとめたご自身のサイトをもっている。
こちらもぜひご覧いただきたい。
遊漁施策とは何か(http://www3.ocn.ne.jp/~yugyo/)

少々話が脱線するが、実は辻井さんからのメールには河口湖の件だけでなく、
両生類のツボカビ症に対する懸念が綴られていた。

すでにNEWSでも紹介しているが、
カエルなどに感染するツボカビ症は社会的にも問題視されている。
致死率が90%以上というこのツボカビ症が自然下で蔓延すると、
国内の両生類が大打撃を受けるとともに、農作物にも甚大な影響をもたらす可能性が高い。
そしてなにより、真菌の一種であるツボカビは、水を介して伝搬する。
つまり、私たちアングラーも無関係ではないのだ。
ボートに溜まった水、タックルやブーツ、ウエーダーなどに付着した水滴。
こういったものを他の水域に持ち込むことで、被害を拡大させてしまう恐れがあるのだ。
現在はペットとして飼育されていた個体のみで、野外における感染は未確認のようだ。
しかし、このニュースに関しては今後注意をしていただきたいと思う。

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