緊急コラム 琵琶湖でリリースが禁止に?

 

 

 すでにご存じの方も多いと思いますが、滋賀県が琵琶湖で釣れたバスの再放流を条例で全面禁止する方針を固めたそうです。もちろん、これはまだ決定事項ではありませんが、このままこの条例が制定されれば、他の都道府県でも同様の動きが起こることは間違いないでしょう。

 この条例に関するあらましなどは、インターネットで閲覧できます(滋賀県ウェブサイト)。
 このHPの中に「滋賀県琵琶湖のレジャー利用の適正化に関する条例要綱案に対する意見・情報の募集」というコーナーがありますので、ぜひご参照ください。
 
  さて、この滋賀県の方針に対して、みなさんはどのように考えますか?現在、滋賀県では一般からの意見を募集しているそうです。はたして、この条例の制定の見直しがされるかどうかはわかりませんが、私たちバスアングラーの意見が積もり、山となることを願います。もちろん私は、断固としてこの条例要綱案に反対です。そこで、私はこの条例要綱案に反対する理由をパブリックコメントとして滋賀県に送りました。ここでは、そのコメントをそのまま掲載いたします。

 

滋賀県琵琶湖環境部自然保護課 御中

 このたび、滋賀県琵琶湖のレジャー利用の適正化に関する条例要綱案が作成されたことをニュースで知り、他県在住者ということで甚だ恐縮ではございますが、意見をお送りさせていただきます。

 この意見は、琵琶湖のレジャー利用の適正化に関する条例要綱案第4章「環境への負担の少ないレジャー活動の推進」内、第20「外来魚の再放流禁止」に反対するものです。

 私は滋賀県民ではありませんが、釣りを楽しむためにこれまでに何度も琵琶湖を訪れています。日本最大の規模を誇る琵琶湖は私のような他府県の者のとって憧れの存在であり、これからも琵琶湖で釣りを楽しみたいと考えています。
  このたびの条例要綱案では「琵琶湖におけるレジャー活動として魚類を採捕する者は、ブルーギル、オオクチバスその他の規則で定める魚類を採捕したときには、これを琵琶尾に放流してはならない」とされています。
 ところが、現在の釣りはかつてのように「魚を食べること」だけのために行なわれるわけではありません。交通が発達し、食べるための魚を容易に購入することができるようになった現在、釣りは「魚を釣る」という行為そのものにその楽しさを求める傾向が強くなっています。いわゆる「キャッチ&リリース」と呼ばれる行為は、無益な殺生をしない、あるいは限りある資源を大切にするという意味で、生命の大切さを知るために有益なものだと思います。

 ところが、この条例要綱案では、ある一部の生物を殺すことが義務づけられようとしています。たとえば、子供が湖畔でミミズをエサにして釣りをしていたとします。このとき釣れたオオクチバスやブルーギルを「殺すのは可哀相」という意識で湖に戻すのは犯罪行為なのでしょうか?これでは恐ろしくて子供に釣りなどさせられませんし、なにより「外来魚は殺さなければいけない」つまり「特定の生物には生きる資格がない」という、極めて危険な認識を植え付けてしまう可能性があります。
 もちろん、琵琶湖という湖が国民の財産であり、この琵琶湖の環境を守っていく重要性は理解できます。
 ですが、現在の琵琶湖の環境に対する外来魚の影響が明確になっていないのは、今年3月12日の国会答弁でも明確だと思えます。この国会答弁ではオオクチバスのいわゆる「害魚論」が取り上げられ、東祥三議員から「自然環境破壊論のすりかえとも言えるのではないか」という言葉がありました。これに対して大木国務大臣が「検討させてもらいます」と答えていることからも、外来魚の環境に対する影響というものは国家レベルでも明確になっていないと思われます。

 国の指針として外来魚の扱いが明確になっていない段階で、琵琶湖だけが一方的に駆除を行なうことには到底納得できませんし、「外来魚の再放流禁止」ということ自体がオオクチバスやブルーギルの駆除に有効だという点も疑問です。バス釣りを楽しんでいる人々は、そのほとんどがキャッチ&リリースを前提としています。先に書きましたように、バス釣りを楽しんでいる人々はバスを釣るという行為自体に、釣りの目的を見い出していることが多いためです。このキャッチ&リリースが禁止されるということは、すなわちバス釣りを目的として琵琶湖を訪れる人々が減少することに繋がると思いますし、これによってむしろ釣圧が軽減した外来魚が増加傾向に転じる可能性も低くないと思います。
 つまり、現状における「外来魚の再放流禁止」はレジャーとして琵琶湖を訪れる釣り人たちに精神的な負担を強いるだけのものであり、少なくとも「環境への負担」を軽減するものではないと思えます。
 
 以上、長々と書き連ねてしまい恐縮に存じます。私としては、これからも琵琶湖を訪れ、有意義な余暇活動としての自由な釣りを楽しみたいと思います。そのためには琵琶湖におけるマナーなども厳粛に守っていく所存でおりますので、なにとぞ御一考のほどお願い申し上げます。

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