幻のナマズ 水田「養殖」 琵琶湖固有種 稚魚放流へ3度目の挑戦 

 ■ニゴロブナと同手法/県、卵の提供呼び掛け
 琵琶湖の固有種で幻の魚とされる「イワトコナマズ」について、滋賀県が外来魚などの外敵に狙われにくい水田で稚魚を数センチまで育て、湖に放流する計画を進めている。ナマズなのに臭みがなく刺し身でも食べられる珍しい魚で、一昨年から開始。卵の入手が難しく成功に至っていなかったが、今年は漁業関係者に対して早い段階から卵の提供を呼び掛けており、「3度目の正直」に期待をかけている。


 イワトコナマズは、湖底近くの澄んだ水で育つため、臭いがなく生でも食べられるほか、すき焼きや空揚げでも味わえる。一方、漁獲量は減り続け、湖北部の西浅井漁協(同県長浜市)を中心に、わずかに漁獲されるだけで、市場にもほとんど出回らない。
 このため滋賀県は、平成12年から県水産試験場(同県彦根市)で、いけすによる養殖実験を開始。漁獲されたわずかな親魚から卵を集め、人工孵化(ふか)させた稚魚を養殖したが、室内のため日光不足でプランクトンの生育が悪く、エサが足りずに共食いするなどし、19年で実験は中止となった。
 そこで県が目をつけたのが水田。水温が高いため、稚魚の餌となるプランクトンの生育に適しており、共食いがある程度防げるほか、稚魚を食べる外敵のブラックバスといった外来魚もいないのが利点だ。
 この方法は、近江名物「ふなずし」の素材で知られるニゴロブナを使って15年から琵琶湖近くの水田で行われており、孵化直後の稚魚を放し、2センチ程度に成長させて湖に戻している。
 ニゴロブナの漁獲量の約3割が水田で育てられていることから、県は「イワトコナマズでも可能ではないか」と判断し、21年から実験に着手。だが、22年までは集まった卵の数が少なく本格的な実験はできなかった。今年は今月から来月にかけての産卵期を前に、県立琵琶湖博物館(同県草津市)が漁協に対し、早期から卵の提供に協力するよう強く呼び掛けてきた。
 今回は6平方メートルの限られた実験水田で、親魚からとった卵を人工孵化させて約200匹を育て、約1カ月後に琵琶湖に戻す計画。将来は一般農家の水田で多くの稚魚を育てたいという。
 同博物館の担当者は「イワトコナマズは岩場に産卵するので、稚魚が水田で育つかどうか課題も多いが、なんとか琵琶湖への放流までもっていきたい」と話している。
【用語解説】イワトコナマズ
 琵琶湖固有のナマズ科の淡水魚で、環境省のレッドデータブックでは「準絶滅危惧」に分類。体長は50〜60センチで、岩礁を中心に生息しているとみられるが、詳しい生態や生息数は分かっていない。体の色は黒っぽく、黄褐色のまだら模様がある。
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