コクチバス:特定外来魚、紀の川水系で初捕獲 生態系への影響懸念−−橋本/和歌山

 在来種を食べる特定外来生物の魚「コクチバス」が4月末、橋本市只野の以賀尾(いがお)池で生きたまま捕獲された。紀の川水系で見つかったのは初めてで、名産のアユをはじめ生態系への影響が懸念される。レジャー釣り目的で違法に放流されたとみられ、県立自然博物館(海南市船尾)は漁協や環境省などに呼びかけ、拡散防止策を探る考えだ。


 同池のコクチバスを巡っては、同館がインターネット上の書き込みに気付き、昨年秋に現地調査を始めた。数匹を捕獲し、生息を確認。外来生物法は生きたまま持ち運ぶことを禁じているため、死なせて標本とした。その後、生きた状態で研究するため、国の許可を得て現地で約10回、捕獲を試みた。
 捕獲できたのは水温が上がってきた4月28日。体長11〜25センチの雌雄9匹が釣れた。広い縄張りを持つコクチバスが同じ位置で釣れたことから、繁殖目的で集まっていた可能性が高いという。
 捕獲と同時に、同池などの生物調査も行った。特定外来生物の魚・ブルーギルはいたものの、小魚やエビ、カエルなどは見つからなかった。同池とつながる沢では、小魚などは生息していた。また、死んだコクチバスを数匹解剖し、胃を調べたところ、ユスリカやカゲロウの幼虫など小さな昆虫しかなかった。同館の平嶋健太郎学芸員は「強力な捕食者・コクチバスが池の生物を食べつくしたのではないか」と話す。
 同館によると、コクチバスが紀の川水系に拡散し、定着すると、アユをはじめ魚だけでなく、蛍などの幼虫やカエル、魚・昆虫を食べる鳥など生態系全体に影響が及ぶという。同法や、違法な放流による影響を学ぶ材料にと、同館は17日から、捕獲したコクチバスを展示する。【久木田照子】
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 ■ことば
 ◇コクチバス
 「ブラックバス」と呼ばれる北米原産の魚の一種で、外来生物法で特定外来生物に指定されている。レジャーフィッシングで人気があり、国内では90年代に長野県の野尻湖などに持ち込まれ、東日本を中心に広まった。低水温や水流の速い場所でも生息できるため、繁殖による生態系への影響は極めて大きい。5月12日朝刊
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