ダウンショット・リグ
DOWNSHOT RIG

日本が生んだ20世紀最後の最強リグが、ダウンショットリグである。ワームのスイミング・ポジションを一定の水深に保つことで、さまざまな状態のバスをバイトさせることが可能なユーティリティー性の高いリグでもある。そのメソッドによってはこのリグを「セコい」と表現する人も多く、プロアングラーの中にはこのリグをトーナメント中に使用することを封印している人もいるのだが、よく釣れるリグでもある。このメソッドは海を越え、現在は広くアメリカや韓国のトーナメントシーンでも多用され、21世紀のバスフィッシングにおいて、必ず知っておきたいリグである。



 一般的にダウンショットリグとは、ラインの先端にシンカーをセットし、その上5〜30cmくらいのところにフックをセットしてリグを形成するメソッドである。このリグは広まりはじめた90年代中期。このリグの考案者とされる村上晴彦さんにならった“常吉(ツネキチ)リグ”、あるいは“アンダーショット・リグ”などと呼ばれていたが、バスフィッシング専門誌を中心にこのタイプのリグを総称して“ダウンショットリグ”と呼んでいることが多いようだ。basswaveでも例外を除いては、ダウンショットリグと統一して呼ぶことにする。また、日本からアメリカに伝わったとされるこのダウンショットリグは、現在アメリカで“ドロップショットリグ”と呼ばれている(現来、アメリカにはウォールアイ=Walleye=釣りに使用するリグとして、ドロップショットというメソッドが存在していた。その名称をバスフィッシングにも流用している)。
 さて、前記もしたように、ダウンショットリグはラインの先端にシンカーをセットして、その上にフックをセットするメソッドだ。いわゆるスプリットショットリグやキャロライナリグのシンカーとフックを逆さまにしたバージョンと考えてもいいだろう。
 このリグが発案された背景には、「ワームをミドルレンジでキレイにスイムさせて、そのレンジでサスペンドしているバスをバイトさせる」あるいは「ボトムから数cmから数十cm浮いたレンジでサスペンドしているバスをバイトさせる」ことを追求したメソッドである。そのため、ミドルレンジをスイムさせるためには、比較的軽いシンカー(ex. 3/0など)を使用する。アクションとしては“チョンチョン”とロッドティップをシェイキングして、ワームを中層でピョンピョン跳ねているように演出したい。このようなアクションを再現させるためには、ストレートタイプやスティックベイトタイプ、またリーパータイプのワームがベストチョイスだ。カーリーテールタイプでは、このピョンピョンと跳ねるアクションは演じづらい。オフセットフックの使用が基本だが、このアクションのポテンシャルを最大限に引き出すためには、マスバリを使用した“チョン掛け”がいいだろう。
 前述のメソッドのようにミドルレンジのバスをねらうときは、ロッドはティップのやわらかいもの。シェイキングをしやすいものがおススメだ。
 また、前述以外のダウンショットリグとして、ボトムで使用する通称“ヘビーダウンショット”や“ヘビ常”と呼ばれるものがある。スピニングタックルで使用するアングラーも中にはいるが、少し重めのシンカーをセットしたベイトタックルを使用するアングラーが多い。
 この場合、ボトムにシンカーを定着させて使用するためボトムのゴツゴツした感触が手元に伝わるが、ワームはシンカーの上にあるため、常に浮いた状態(サスペンドした状態)を保持していることになる。
 このメソッドの代表的なところは、ボトムにある岩やオダなどのストラクチャーにシンカーを故意に引っかけて、一ヶ所でシェイキングしてワームを踊らせることに意味がある。また、重めのシンカーを使用していれば、移動距離を少なくしたまま一ヶ所でシェイキングをすることも可能だ。このメソッドを使用する場合、ストラクチャーにフックが絡んでラインブレイクの可能性があるので、オフセットフックで使用したい。
 ワームのタイプとしては上記で触れたタイプに加え、グラブタイプやシャッドテールタイプを使用し、ケース・バイ・ケースでバスの反応をみるのがいいだろう。

 シンカーからフックまでのリーダーの長さは、そのフィールドやシチューションによって異なるが、約15cmを基本として、短くしたり長くしたりを臨機応変にするのがいいだろう。

   

1)ダウンショットリグに必要なアイテム


2)ラインをフックに結ぶが、もっとも簡単でフック下の長さを調節しやすい結び方は、パロマノットだ

3)ラインの先端をコマ結びして、そのコマ結びのすこし上部にスプリットショットシンカーを噛ませる。この写真では、シンカーにタングステンシンカーを使用
4)ワームをつける前は、このような状態になる
5)ダウンショットリグ完成型

6)ヘビーダウンショットリグの作る際によく用いられるダウンショット用シンカー。コマ結びの部分をラインストッパーに引っかける